「痕跡」を消さない、ということ

古い本を仕入れるようになってから、わずか2年と少しの経験ながら、この間、少なからぬ「痕跡本」を見て来ました。 「痕跡本」というのは岐阜は犬山のインディーズ古書店、「五っ葉文庫」の店主の考案された言葉で、先の持ち主の「読書の記録」がある本のこ…

夏の虫本

古い印刷技術で印刷された図版をこの目で確かめたくて、リトグラフより前の時代の技術である銅版画図版の虫の本を調べながら入れています。その銅版画の図版が、同じ本でも、単色で販売されたもの、そして、手描きで彩色が施され販売されたものが存在する、…

漢聲雑誌、再版予定の本から・・・

5月末、あるいは6月初旬に再版される予定の漢聲(ハンシェン)雑誌「老月份牌廣告」。 (三番目の文字、にんべんに「分」です。初版1994年)。 版元にお願いして、唯一在庫している初版本を撮影させていただきました。 20世紀初頭から中頃まで、中国で流行し…

胡蝶書坊次回更新は4月20日(火)日本時間22:00です。

胡蝶書坊、次回の更新は来週の火曜日、4月20日(火)日本時間22:00を予定しています。 4月9日のブログでご案内していた19世紀フランスの蝶蛾類の図鑑二点のうち、 アイスランド火山噴火前に無事に到着したのは、 写真下の"Guide du jeune naturaliste. Les p…

空を見上げて・・・

昨日、デンマークから届いた31枚のクリスマスカード。 さて、これをどうしよう、というのはこれからゆっくり考えます。 気づいたのは、空。 雪原に降り立った天使の背後には低く垂れ込めた雲間から光が漏れている・・・ 新年を祝うカップルの上空にはうっす…

乙女の昆虫採集

かけだしの古本屋として、とにかくどんどん現物を見ておきたい、そんな思いで、通帳とにらめっこしながら、時にエイヤっと注文を出してしまう。そんな思いで入れた本も、想像していたよりも、状態が良くなかったり、美しい本ではなかった、ということもあり…

夏よ来い!

もう4月なのに、今年は突然寒くなったりと天候不順な台北。 夏が恋しい。 5月から9月まで、台北で屋外のプールが開いている間は夏だ、と感じる。 果物が実をつけやがて熟して落ちていくのを見届けるような気持ちで夏を楽しみます。 一人でバスに乗ってマンゴ…

季節はずれの話題ですが・・・

キリスト教徒ではないのですが、子供の頃から「クリスマス」というものに独特の感情を抱いていました。「小学○年生」、「子供の科学」、「科学」(今から思うと「科学」と「学習」、学校内で訪問販売して、ほとんどの生徒が買ってたけど、あれ、ダメだったん…

今日淡水は4.8度まで冷えました。

台北は快晴、今日は水曜日、「水」の日です。 昨夜から読み始めた「したくないことはしない 植草甚一の青春」(新潮社)を読み終えてしまうのが惜しいような気持ちで読了。装幀も平野甲賀さんでとても洒落ている。文章もスピード感を保ちつつ優しく、「物」…

ロバート・フランク

という写真家の名前をほんの2年半前まで僕は知らなかった。今ではさも前から知っていたような顔をして人前でその名前を口に出しているけれど、こと写真に関しては「オマエ、もぐりか?」と言われてもしかたないほど何も知らなかった、と思う。 そのロバート…

ニューヨークから

今日は弟が推薦してくれた写真家、Duane Michalsの1982年、パリで展覧会を行った時の図録が入って来ました。序文はなんとミシェル・フーコー。でも、フランス語なので読めない・・・自らゲイであることをオープンにして活動を行って来た人たちならではの、シ…

雨、やや肌寒し

ホンマタカシの「たのしい写真」(平凡社)を読み返す。二度目でもいろいろな発見があります。この人がとても自覚的であること、自分の立ち位置(たとえば、自分は今、写真史上のどのあたりにいるか、など)を意識していること、写真の「いかがわしさ」をむ…

一年に果たして何度あるかの心地好い晴れの日続き

返事を待って、返事を待って、ようやくのことデンマークの古本屋さんからメールがあった。 以前にやりとりをしていた女性が退職して、別の人からの返信の遅れへのお詫びと本の説明。 Sørenという人だった。って、キルケゴールと同じファーストネームだ!!う…

晴天の重陽

今日は旧暦9月9日、晴れてサラッと気持ちのよい重陽の節句だった。 台湾は休日にはならず、香港は休日だったそうな。 重陽と言えば、菊。でも、これは日本だけ? もうずいぶんと菊の花のにおいを嗅いでいない。 部屋が「仏壇化」してしまうのを覚悟で、明日…

肌寒い夕方にラヴクラフトを読んでちょっと後悔・・・

フィリピン沖をのろのろと移動している台風の影響で毎日雨の台北。 肌寒く、じとじとする夕方にラヴクラフトなんぞを読んだものだから、気持ちがかなり落ち込む。 20年ほど前、ちょうど深夜のテレビ映画でイザベル・アジャーニにつられてズラウスキーの「ポ…

今日は七夕

今日は旧暦の7月7日、七夕です。 台湾では「情人節」、つまり「恋人の日」。 2月14日の聖バレンタインデーも「情人節」と呼ぶことがあるので、それと区別して「中國情人節」という場合もあります。 この頃になるとバラ一本の値段がニュースに流れ始めます。 …

テレビコマーシャル

日本に帰国する時、楽しみにしているのが、日本のテレビコマーシャルを見ることです。 NHKの朝ドラも時代劇も台湾ではNHKワールドプレミアムが放映されているので、(今はテレビがないので見ませんが)日本に帰ってもNHKを見たい、とは思わないのですが、テ…

お盆も終わりました。

京都のみなさん、昨夜は五山送り火でしたね。 大文字の送り火は学生時代、そして卒業して何年かは、出町橋のたもとにあった「かも川」というおでんやさんに集まって毎年見に行っていました。 先日、その「かも川」も無くなってしまったことを学生時代の先輩…

猫の報復?

朝はポツポツと小雨が降っていたのですが、昼近くなると夏空が広がり出し、あっという間に35度。 友人のバイクの後部座席にまたがり、信号待ちをしていると、強い太陽にむき出しの足の甲がチクチクするほどです。 二週間ぶりにあの鷹の巣(こちら)のある大…

夜中の蝉

雲ひとひらない夜空に浮かぶ月を見てものどが乾くような暑さ。 深夜、街灯のともる近くにしげる街路樹からはニイニイゼミの声が聞こえて来ます。 夏だなあ。しみじみ・・・いにしえの人が夜の蝉を歌った歌があることを見つけたときは、嬉しかった。 これまた…

今日もまた

今日もまたキム・トッド「マリア・シビラ・メーリアン」(みすず書房)を繰り返し読む。 17世紀から18世紀初頭にかけてのオランダ、アムステルダムという都市の自由闊達な空気! メーリアンという人はドイツに生まれたのだけど、いわばオランダが育てたのだ…

午後より豪雨

台風は大陸の方に逸れて行き、それでも冷たい空気を残してくれたせいか、午前中は涼しく良い天気。朝、市場で鷄もも肉とじゃがいもとレモンを買い、鷄ももはすぐにオリーブオイルとレモン汁と植木鉢からちぎったローズマリーとでマリネする。 これをしばらく…

夏は実ものが美味しい季節

朝、夏野菜がザルにこんもりと盛られているとついつい買ってしまう。 「翡翠椒」といううす緑色のきれいな唐辛子を買ってみる。 かつて、これを買って、あまりの辛さに食べきれなかったことがあるのだけど、今回は「あまり辛くない」品種をもらった。 煮浸し…

中国の美しい本、明日、ご案内できそうです。

台北はここ数日、午後になると雷と豪雨。 梅雨もそろそろ終わりでしょうか。中国の美しい本四点、明日の更新に何とか間に合いそうです。 梅雨の晴れ間を利用して、今朝、なんとか中身の写真も撮影できました。少し残念なのは、このうちの一冊、北京の伝統的…

中国のブックデザイン

一昨日訪れた上海書店で、店長さんが勧めて下さったのがブックデザイナー呂敬人(リュ・チンレン)氏のデザインした本。 休刊になってしまった日本版Esquireがかつて「美しい本」という特集の中で注目していたのは漢聲雑誌などを含む台湾の出版物でしたが、…

決断して心が軽くなった梅雨空の一日

決断をしなければならないことがあり、昨日まで、いや、今日の午前中まで非常に気が重かった。 そんな気持ちを振り払いに、朝、泳ぎに出かける。 水の中では何も考えず、ひたすらゆったり泳ぎ続ける。 仕事に戻り、電話をしたりメールで人とやりとりしている…

梅雨の晴れ間は

貴重な撮影の日。 本の中身の写真を撮るのに、間接的に入って来る午前中の自然光が一番良いように思うため、今日は太陽が出ていたわずかな時間をすかさず利用。以前に「プルーストの食卓」のアメリカ版(Dining with Proust)をご紹介していますが、その本を撮…

古書ソムリエさんのお店

「古書ソムリエ」こと京都の山本善行さんが6月にお店を開かれる・・・ 山本さんのブログでこの記事を拝見した時に、背筋がゾクっとするほど興奮した。 すごい、すごい、すごい本屋が京都にできるぞお!と。山本さんのお名前を初めてうかがったのは、亡くなっ…

日本は連休ですね。

月曜日に入って来た「幸田文 台所帖」と「幸田文 しつけ帖」(装幀はクラフト・エヴィング商會)、それから一昨日届いた「彷書月刊」を今日、ようやく開く時間ができて、誰がどこで書いていたのか(森まゆみ女史?)、大切な菓子を少しずつ味わうような気持…

完熟トマトを買いに出た朝

太宰治生誕百年よりも永井荷風没後50年のほうが身近に感じられる今日このごろ、まずは早起きをして机に向かう。一段落したところで、出勤前の人たちがそろそろ退散したであろうモスバーガーで朝食をとり、「今日は完熟トマトのスパゲティが食べたい」、と新…