夏よ来い!

もう4月なのに、今年は突然寒くなったりと天候不順な台北
夏が恋しい。
5月から9月まで、台北で屋外のプールが開いている間は夏だ、と感じる。
果物が実をつけやがて熟して落ちていくのを見届けるような気持ちで夏を楽しみます。
一人でバスに乗ってマンゴーの並木のあるバス停で下りる、あるいは友人のバイクに乗っけてもらって、足の甲を太陽でヒリヒリさせながら、プールにたどりついて、カルキの匂いを嗅ぐと・・・「ああ、夏だ」。
学生時代によく聞いた大滝詠一のアルバムのジャケットのイラストは木陰が真っ黒に塗りつぶされていて、南国の太陽というのはこういうものなのか、と思ったものだけど、ここでは真夏の木陰を見るとそのイラストを思い出します。
ガジュマルの木陰は本当に黒い。
そして泳ぎ疲れた後に、ぼーっとかき氷をほおばる。
ガラス越しにお店の人にトッピングを選んで言う。
四種類で45元ぐらい。
いつもパッションフルーツ百香果)、パイナップル(鳳梨)、緑豆、押し麦、あるいはタロ芋で作った小さなダンゴのようなものを選ぶ・・・


なので本も夏を思い起こさせてくれるものには、ぐっと惹かれ、本屋で「夏」という文字のある背を見ると、ついつい手に取ってしまいます。
夏の本といえば・・・
梶井基次郎の「城のある町にて
新潮文庫谷内六郎展覧会」も夏の一冊はすぐに表紙がボロボロになった。
山際淳司が訳してたデヴィッド・アップダイクの短編集の中の「夏」という一篇。(「カプチーノを二つ」所収)
ハロルド・ブロドキーの「いさかい」もアメリカから夏休みに自転車旅行をしてフランスが舞台だった。(「初恋、その他の悲しみ」所収)
新古今和歌集岩波文庫をカバンにいつも突っ込んでいて、夏歌のところばかり幾度も幾度も読み返しました。
高野文子の「絶対安全剃刀」の最後の一篇。
「フローラ逍遥」も百合の章の「海岸から少しはなれた松林・・・」のところに来ると、蝉の声と海風と汗ばむ背中と、下草で少しかゆい草履履きの足もとを想像して夏の海に思いを馳せる・・・



今年の夏は海にも山にも出かけようと思う。早く来い、夏!!


僕の好きなかき氷屋さんの地図


このあたり日本統治時代は軍事用の飛行場があったので、今も「南機場」(機場は中国語で空港の意味です。)と呼ばれています。付近の夜市も楽しい。それからこの中華路の並木はマンゴーなんです。「土芒果」(トゥーマングオ)と呼ばれる緑色の小粒のマンゴーで、食用の手入れもされていないので、多分、熟してもうまくないのですが、夏、たわわに実るマンゴーを道の両側に眺めながら、バイクで通り抜けて行くのは気持ちの良いものです。