テレビコマーシャル

日本に帰国する時、楽しみにしているのが、日本のテレビコマーシャルを見ることです。
NHKの朝ドラも時代劇も台湾ではNHKワールドプレミアムが放映されているので、(今はテレビがないので見ませんが)日本に帰ってもNHKを見たい、とは思わないのですが、テレビコマーシャルはついつい見てしまう。
その色目から、雰囲気まで、よくも悪くも、ああ、日本だなあ、と思わせてくれるのが日本のテレビコマーシャル。
台湾のそれとはひと味もふた味も違います。


こちら台湾で、一時とっても好きだったのが、コンビニなどでも売っているスナック菓子(ちょっとベビースターラーメンのような)「張君雅小妹妹」のテレビコマーシャル。
大学生らしき男子が小学生男子からそのスナック菓子を取り上げる時の顔つきに思わず吹き出しそうになった「傑作」でした。
そのコマーシャルに感化されて、遠出する時など、ついついいまだにセブン・イレブンなどで(類似商品を買わずに)、この「張君雅小妹妹」を買ってしまう、ということはこれは成功したコマーシャルに違いない。(僕だけかも・・・)


京都に住んでいたときに気になっていたローカル・コマーシャルはグレゴリ青山女史の「しぶちん京都」(メディアファクトリー ISBN978-4-8401-1701-2)の「おまけまんが」にも登場していて、とってもなつかしく思い出しました。


そういえば、お菓子のコマーシャルなのに異様にうら悲しいメロディーの「パルナス」や、「4、1、2、6、4、1、2、6」という数字が耳にこびりついているけど、関西で放映していても意味なかったんでは、と思われる、「伊東へ行くならハトヤ」も懐かしい。


さて、そんなテレビコマーシャル、外国のものが直接使われる、ということがあります。
非常に鮮烈に記憶に残っているのは、プロコフィエフの「ロミオとジュリエット」の中の一曲をBGMに、窓ばかりのシュールレアリスティクな建物で、女たちがフランス語でわめきながら、ある男への恨みつらみ(多分)を述べまくり、最後はその窓を鳩時計のようにバタバタさせながら「エゴイスト!」と叫ぶ、あのCHANELの男性用オードトワレ「エゴイスト」のドラマティックなCF。
あるいは、若きバネッサ・パラディが鳥籠の中でさえずりながら、ゆらりゆらりとブランコで遊ぶ、これまたCHANELのCOCOのCF。
(うっ、結構、「おフランス」に弱いかも・・・)


このふたつのコマーシャル、作り上げたのは、ジャン=ポール・グード(Jean-Paul Goude)という人でした。
彼の作品をまとめたDVD付きの一冊"So Far So Goude"(Assouline 2005)が本日入荷しました。(古書)できるだけ早く胡蝶書坊でご紹介の予定。


ひょっとするとコマーシャルフィルムというのは、その国のアートやデザインの先端を一番手っ取り早く感じることのできるメディアなのかも知れません。