肌寒い夕方にラヴクラフトを読んでちょっと後悔・・・

フィリピン沖をのろのろと移動している台風の影響で毎日雨の台北
肌寒く、じとじとする夕方にラヴクラフトなんぞを読んだものだから、気持ちがかなり落ち込む。
20年ほど前、ちょうど深夜のテレビ映画でイザベル・アジャーニにつられてズラウスキーの「ポゼッション」を見てしまった後のような症状・・・うっ、たとえがニッチ過ぎである。
朝市で、土から掘り出したばかりのダイコンのみずみずしさやホウレンソウの根元の茎の赤みにはずんでいた心がどよーんと沈んでしまった。


これはいかん、と11月に計画している台南への旅に思いを寄せ持ち直す。
そうだ、それに明日はこのダイコンとホウレンソウで旨いものをこしらえれば良いのだし。


さて、月曜日にご紹介できる本は三冊。
ロートレックの料理書は活版印刷オフセット印刷が用いられていてなかなか洒落た一冊。
ソーントンの「フローラの神殿」(Temple of Flora)の縮小複製版。
それから、Morris Hirshfieldというのは、67歳に最初の作品を仕上げた、これはいわゆるナイーヴ画家と呼ぶのか、あるいはプリミティブと呼ぶのか、うん、最近、歳をとってから描き始めた人の絵が妙に気になります。
多分、歳をとって後も、おさまってしまわずに、新しいことに手を染めてみるやわらかさが魅力的なんだと思う。
そういえば、自ら命を絶ってしまった人のものを僕は無意識に避けている。


そうそう、歳とって描き始めた人、たとえばAlfred Wallisは絵をこの目で見てみたい。
どんなに落ち込んでいても海辺でぼうっとしていると自然に気持ちがほどけてくるので、多分、船を描いた絵は好きになる。


まだまだ入って来ているのですが、まずは三冊。
以前は日本語の解説を書き上げたら、すぐにアップしていたのですが、それでは台湾のお客様に不公平になってしまうので、中国語の訳(友人にお願いしているのです。)ができ上がってから、アップしていくことにしました。
この次の更新は再来週の月曜日の予定です。11月、12月は密に更新していきたい。


ここのところ入って来ている本にはイギリスの出版社がオランダで印刷製本をしていたり、スイスで印刷製本をしていたりする本があり、それはおそらく当時のオランダやスイス(特にローザンヌで印刷、というものが多い)の印刷技術を考慮してのものだ、と思うのですが、たしかに活版印刷によるくっきりと黒い活字や、あるいはカラー印刷が未熟だった時代のモノクロ図版の美しさには、ハッとさせられるものがあります。


お楽しみに。


・・・やはり「恐怖もの」は和物が肌に合います。岡本綺堂「すいか」はとても好きな作品。