台湾の本屋の平台を見て・・・

今朝の淡水(タンシュイ)の最低気温は7度でした。一桁になるのはこの冬初めてではないかな。今日は何か机に向かっていてもダメな気がしてズンズン外を歩く。バスで包装資材を買いに行き、帰りは歩く。防水クラフト紙は文房具屋さんに。ここも行きはバスで、帰りは歩きで。寒空の中、ズンズン歩くとほほが冷たく、からだが暖まって嬉しい。歯磨きと洗剤が切れていたので、スーパーに寄るとどちらも「特価」であった。ミョーに嬉しい。グレゴリ先生!僕も「しぶちん道」まっしぐらです!と心の中でつぶやく。

 そうそう、午後の郵便局でも嬉しいことがあった。台湾の郵便局では利用者はまず機械から吐き出される番号札をとって、その番号が呼ばれてから指定されたカウンターに行く。「365番のお客様、6番カウンターへどうぞ」というようにアナウンスが流れるのだ。お客さんが込んで来ると「国内向け書留用のカウンター」を臨時に増設する。すると番号をとって呼び出しを待っていたけど、国内書留であったお客さんは番号札の順番を待つことなく、そのカウンターでさっと用事を済ます。そんなお客さんの一人が僕の持っている日本向けの小包を見て、「あっ、どうぞ、これ使って。」と僕のやつより10ほど若い番号札をにっこり差し出す。びっくりしながら「あっ、ありがとう。」と喜んで受取り、僕は自分の番号札を今入って来てまだ札をとっていない人に進呈した。小さなことだ。でも、こういう細々としたことが僕をこの町で活かしている。

 昨日台北駅の近くの新刊書店の平台を見て、ずらっと並んだ翻訳物に今さらのように気づく。日本の書店で言う「文芸もの」(日本の書店のこの「文芸」という分類が実はよくわかっていないのですが・・・)はそのほとんどが日本、及び欧米の著作。では、台湾人の著作は何が並んでいるか、というとビジネス、財テク、ダイエット、などなどいわゆる「実用書」の分野なのであった。あっ、それと宗教関係。少しショックでした。


 出版社も書店も、「文学の新しい才能」を発掘するリスクを冒すよりも、すでに海外で高い評価を得ている、いや、もっとはっきり言うと「売れている」作品の翻訳を行っていけば、この「出版不況」の中、安全、ということなのだろうけど、あまりにその傾向がはっきりし過ぎてはいないだろうか?出版社にも書店にも自国の若い才能を育てる義務がある、と思うのだけど・・・


 それにしても「1Q84」の翻訳、早すぎない?