緑したたる森の中

ここのところ台湾の出版物とつきあっているうちに、次第に台湾先住民の文化に惹かれつつあります。
台湾先住民の文化のほんの一端にそれとは知らずに最初に触れたのは、多分、かのEnigmaが無断でサンプリングを行い「自作」として1994年に発表した"Return to Innocence"のあの朗々たる歌声。
グラウンドビートに乗って鳴り響くあのメロディーに魅了された人も多いのではないでしょうか?
あの声の主が台湾の先住民、アミ族の郭英男氏であることを知ったのは、恥ずかしながら台湾に来てからでした。


ここ台北に一番近い先住民族の住む土地といえば、烏來(ウーライ)。
美しい渓谷の温泉地、夏は幾種類もの蝶が舞うところです。
ナガサキアゲハツマベニチョウ、ヤエヤマイチモンジ、イシガケチョウ、それからマダラチョウの仲間たち・・・
ここに暮らすのはタイヤル族
今、観光用に着用される衣装は、おそらく既成の布をもとに作成されたものではないかと思うのですが、もともと彼らは和名をカラムシというイラクサ科の植物を栽培し、その植物からとった繊維で布を織り、衣服を作っていました。
その地の白と鮮明な赤という強烈なコントラストが彼らの伝統衣装の特色。
あっ、ちょうどツマベニチョウと同じ配色ですね。(奥本大三郎氏の理論の「実証」の一例となるやも?)
光り輝く太陽、常緑樹の森の緑の中で、さぞや美しくその衣装は映えたであろう、と想像します。


すでに胡蝶書坊サイトでは、「台灣原住民衣飾文化」(書名をクリック)をご紹介していますが、来週、さらにもう一冊、このタイヤル族の衣装を復元した実に美しいカタログをご紹介できる予定です。
訳して「タイヤル族伝統衣装復元プロジェクト図録」(書名をクリック)とでも申しましょうか。
表紙は下図のごとし。


さて、台北ブックフェア。
今回は本との出会いよりも、人との出会いが嬉しいフェアでした。
また、直接フェアとは関係ないのですが、最近、かねてより敬愛している東京の古書店店主の方と知り合う機会にも恵まれ、どうやらこの春は「縁」に恵まれているようです。