熊田千佳慕のこと

熊田千佳慕(Kumada, Chikabo. 1911- )の絵に初めて出会ったのは、多分、幼稚園のころだと思う。昭和30年代後半。「キンダーブック」の挿絵?、いや、ひょっとしたら小学校にあがってから「科学」あたりでなじんだのか?
もちろんその頃、この絵を描いている人の名前など知りもしなかったし、画家の存在を意識すらしていなかったけど、多分、「その人の絵だ。」ということは認識していたのではないか、と思う。ちょうど大好きだった武井武雄の絵も、「あの人の絵だ。」と感じていたように。


(余談:僕の最初の武井武雄の絵の記憶は、「かもとりごんべえ」なのだけど、本当にあれは武井武雄の絵だったのか?たしか「キンダーブック」だったと思うのだが、なにしろ40年以上前のことで非常にあやふや。)


その絵を描いていた人の名前を知ったのは、学校を出て、会社勤めを始めて間もなく、富山に勤務していた頃、たしか総曲輪(そうがわ、でしたっけ?)の清明堂という名前の本屋さんで買った「アニマ 昭和60年11月号」(平凡社)の特集「動物画の世界」でだった。(「マニア」ではないので念のため.....)雑誌で紹介されていたのはたった一枚、白黒のカマキリの絵だったけれど、あっ、あの人の絵だ、と瞬時に感じ取ったのを覚えている。今年の春、帰国時に実家の僕の本棚に、奇跡的に残っていたこの雑誌を持ち帰って来た。


今週末、台湾サイトで熊田千佳慕の「ファーブル昆虫記の虫たち」を掲載する予定。そもそも虫を追いかける子供を町で見かけること皆無の台北で、この本を好きになってくれる人がいるのかな、とはなはだ心もとない。


時々なんとなく非常に独りよがりの世界で遊んでいるに過ぎないのかなあ、と不安になる。それでも明日は待望の写真集が入荷の予定。楽しみです。


追記:先日のビュイックの絵について突然想起。いま、手元に本が無く、非常に曖昧。岩波文庫寿岳文章訳/ギルバート・ホワイト著の「セルボーン博物誌」(上)(下)にもビュイックの版画が使われていたように思う。うーん、でもとっても曖昧。曖昧なので、紀伊國屋書店Book web(海外在住者にとってはAmazonよりも送料がうんと安いので、急がないときはBook webが重宝。)に注文を出したところ。なんだか最近、一度手放した本を買い直すこと多し。やれやれ。