百科事典の思い出

前々回のエントリー「夏の虫本」で「来月(7月)初旬」と書いた古書、"Considérations générales sur la classe des insectes"(「昆虫の分類に関する一般的考察」1823年パリにて出版)の入荷が少しおくれています。ご紹介は中旬になる見込み。もうしばらくお待ち下さい。(7月27日追記:本日ご紹介の予定です。日本時間22:00、胡蝶書坊サイトをご覧下さい。)

同時にご紹介する予定で待機(?)している一冊から、少し思わせぶりな画像をお届けします。

こちらは19世紀半ばにフランスで出版された「万有博物事典」(Dictionnaire Universel d'Histoire Naturelle, 1841-1849)から図版ばかりを集めた一冊。2007年の出版です。

ふっと思い出したのですが、みなさんのご実家には今や無用の長物となった英語の百科事典が誰にも触れられることのないまま書棚に鎮座ましましていないでしょうか?「これからの日本人は英語だ!」とたぶん万博の余波で人々が少しコンプレックスを感じていたことにつけ込んだ業者がアメリカーナやブリタニカなどという「一体、このうちの誰が使うんだ・・・」というような、今や古書店でさえ引き取りたがらない英語の百科事典を巧妙に売り込んだ痕跡が。

実は我家にもあります。そして一番よくページを開いていたのは僕だったかもしれない。でも僕がながめていたのは恐竜のイラスト、昆虫のイラスト、そして珍しい海の向こうの鳥たちの写真のあるページだけだったので、引っ張り出すのはD(Dinosaurs)やR(Reptiles)、B(Birds, Beetles, Butterflies)それからI(Insects)ばっかりでした。図版を眺めることには無上の快楽を覚えたのですが、それ以上深くものを探ろうとすることのない子供だったので、おそらく両親が期待したのであろう英語の学習には何の役にも立ってなかった。