暑中お見舞い申し上げます。

朝、相棒のバイクのうしろに跨がって台北県烏來(ウーライ)へ向かう。
山道で後ろ足一本無くした母犬が子犬三匹に乳をやってるのを見かける。
バイクをとめて母犬の前でしゃがみ込み、
朝食用にファミリーマートで買ったサンドイッチを取り出すとあっというまに平らげてしまった。
その間も真っ黒な子犬どもは乳にしゃぶりついてる。
手を出しても子犬は警戒してなかなか近づかない。
母犬はよっぽど腹がすいていたのか、もっとないのかという顔をしてる。
立ち上がってバイクにもどり、両掌を見せて「没有了!」
(もうないよ、台湾の犬にはやはり中国語で話しかけてしまう・・・)
というと、ようやく諦めた顔をした。

沢に着く。
バーベキューする人たちであたりの空気が汚れて行く前に、
乾いた岩の上に荷物を置き、
水着に着替えて澄んで冷たい沢の水にからだを浸す。
大きな渕があり、ちょうど肩が少し出るくらい。
やがて珍しく子供たちだけで遊びに来た男の子四人組と同じ渕を分け合う。
年長の子が小さな子をおぶって深みに入って行く。
彼らが足の届きそうにないところへ行こうとすると、僕らは注意を促した。
岸辺の石にはカワトンボが二種類。

いつのまにか、大人になってから、こういうところで僕は「眺める人」だったなぁ、と思う。
今はふたたび服を脱いで、沢に入って、遊ぶ人になった。
カメラを落とさないように川上と川下に向けて1枚ずつ撮った。
(上の写真、橋の上におじさんがいます。心霊写真ではありません。ほんとにいました。)

暑中お見舞い申し上げます。
次の土曜日は立秋です。

メモ:
見かけたカワトンボ二種類は、
Matrona cyanoptera(和名不明。こちらでは「白痣珈蟌」)
Euphaea formosa(ナカハグロトンボ、こちらでは「短腹幽蟌」)
台湾ではイトトンボ、カワトンボの類を「豆娘」と呼ぶことを今、図鑑で知りました。

聴き取れた蝉の声は、
Cryptotympana holsti(タイワンクマゼミ
ちょっとミンミンゼミを思わせる、一匹が谷に響くような声で鳴いていました。
台北市内で盛んに鳴いているのはCryptotympana takasagona(タカサゴクマゼミ)だそうな。
(参考:陳振祥著「臺灣賞蟬圖鑑」天下文化 2007年)

8月2日追記:
見かけた蝶のうちほんの一部
Papilio memnon heronus(ナガサキアゲハ
Graphium cloanthus kuge(タイワンタイマイ
Graphium doson postianus(ミカドアゲハ)
Graphium sarpedon connectens(アオスジアゲハ)
Hebomoia glaucippe formosana(ツマベニチョウ