雨の夜、白桃をほおばる。

漱石あたりを読んでいていて、果物のことが「水菓子」と書かれていたりすると、「ああ、うまそうだな」と思う。
今にも果汁が滴り落ちそうなみずみずしい語感の言葉だなあ、ってそのままやんか。


中国語で果物は「水果」(shui-guo)。
ここのところ実にうまい水蜜桃が出回っていて、やや高いが、思い切って旬の味を堪能。
人に分けて、喜ばれると調子に乗って、桃ばかり買ってしまう。


台湾の人は食べ物を口にするきに、どの食べ物が「冷」で、その食べ物が「温」かを子供の頃から教わって来た考え方で区別している。
たとえば、同じ豆でも「緑豆」は「冷」、「紅豆」(小豆のこと)は「温」。
なので、夏には「緑豆」を食べ、体内の「火気」を下げ、冬には「紅豆」を食べ、体を暖める。
果物もそんな風に「分類」されていて、主に亜熱帯や熱帯で実る果物、マンゴーやライチーやパイナップルなどは、「体を冷やす」と言い、あまりたくさん食べ過ぎないようにしているようだ。


「冷」とは関係ないけど、南方の果物にはどことなく「毒」を感じることも事実。
マンゴーを食べてかぶれた人を知っている。
マンゴーはウルシ科の植物なので、人によっては顔がはれあがるほどかぶれることがある。
パイナップルもタンパク質を溶かす酵素を含んでいて、昔は食べ過ぎると舌が痛みを感じたものだった。(そうそう、7月になると出回る「牛奶鳳梨」、訳すと「牛乳パイナップル(?!)」、果肉がちょっと白いので、一見まだ熟していないのか、と思うほどのなのですが、糖度が高くうまいです。)
ライチーも少量は美味だが、たんまり食べようとは思わない。(結構、虫が入っていることがあるし・・・)


今日の台北は日中むしむしと曇り空が垂れ込め、夜になって時折思い出したかのようにザッと大粒の雨が降ってはすぐに止む、部屋の窓を全開にして、風を通し、水蜜桃をほおばっています。