真夏の夜に虫の本のページを開く

マリア・シビラ・メーリアン(Maria Sibylla Merian)の「スリナム産昆虫の変態図譜」(Metamorphosis Insectorum Surinamensium)の原画を複製した大きな本が本日入荷してきました。
1982年に英国の学術出版社、Pionより発行されたものです。


オリジナルの「スリナム・・・」は刊行本としては1705年にアムステルダムで初版が発行され、図版は手彩色銅版画によるものですが、今回入って来た複製本はテクスト部分はその刊行本のラテン語のものを複製し、図版はウィンザー城が所蔵している水彩画の原画をファクシミリ版(現物と同じ大きさで複製)で収録した、というかなり凝ったもの。


刊行本の銅版画の図版と原画の水彩画とのちがいについても詳しく表記され、本として出版するにあたって、オブジェクトの位置の変更や色彩の変更がかなりおこなわれていたことを知るのは非常に興味深いものです。またメーリアンの死後に刊行された版に新たに付与された10余枚の図版についても複製されています。もちろんラテン語のテクストの英訳もあり。


真夏の夜に大きな大きな虫の本を静かに開き、精緻に複製された図版1枚1枚に見入るのは、実に幸せ・・・
でも、よりこの本を愛して下さる人の手元へと早く旅立って欲しいものです。


胡蝶書坊サイトでは7月中旬にご紹介の予定。これからも少しずつメーリアンにちなむ本が入って来ますので、その都度、ご案内して参ります。