写真について

写真、というメディアに対して、どうも警戒する気持ちが解けずに、それでも「写真集」というカテゴリーを設けているのは、僕自身がたった1枚の写真に一目惚れして、写真集や雑誌を買ったりした経験があるから。
たった1枚の写真がたとえば、夏という季節について僕が何年も何年も味わって来た幸福感をぎゅっと凝縮して表現してくれる可能性があることを信じているから。
写真を警戒している理由を僕は僕自身の言葉ではうまくあらわすことができなかったのだけど、星野博美さんがその著作で述べていることを読んで、あっ、これだ、と思い当たる。


「・・・カメラという便利な道具が表現する覚悟のない人までを表現の場に引きずりこみ、本来なら悩まなくてもいい人にまで『何を表現したらいいのかわからない』という苦悩をさせている・・・」(「銭湯の女神」p202)


つまり、警戒している、というのは、逆に写真を見る側としての僕自身が、多分、その便利な道具で表現された「それなりのもの」、と「極めて上質のもの」を区別する自信がないからでもあるのだな、と思う。


今「写真を見てやろう」という気持ちがムクムクと起こって来ていて、きっと警戒心を解くことにはならないと思うし、ホンマタカシ佐内正史といったビッグネームの人たちの写真の良さがすぐにわかるようにはならないとは思うのだけど、でも、そういう気持ちが起こっているこの機会をうまいこと利用してやろう。


今日は建國花市に出かけ、ローズマリーを一鉢買い求める。肉料理にしばしば使うのだけど、スーパーで買うより、自分で育てた方が安上がりなのである。