植民地時代、日本語で作品を発表した台湾人作家

日本の植民地であった時代、日本語で文章を書かざるを得ない台湾人作家がいました。
そして戦後、大陸からの国民党政権が台湾を掌握することにより、日本語で書くことを断念せざるをえず、筆を折らなければならなかった・・・
今、龍瑛宗(1911年-1999年)という台湾人作家の日本語作品を読んでいます。
面白いです。

亜熱帯のギラギラと照る太陽、ねっとりと体にまとわりつくような湿り気、路地からの臭い、猥雑な街のたたずまい、椰子の葉影からのぞく夏の月・・・
そして植民地という場所で活きざるを得ない人々・・・

1937年に「改造」の懸賞に応募、その年の第19巻第4号に処女作「パパイヤのある街」が佳作として掲載され、その後、次々に小説や詩、評論などを発表していきます。

来月、この龍瑛宗の全集をご案内の予定です。
以前から、「読む本」をご紹介していないことにものたりなさを感じていたのですが、これはきっと新鮮に読んでいただけるのではないか、と思うのです。

日本語で書かれながらも、台湾でしか生まれ得なかったであろう龍瑛宗の文学の世界に一度どっぷりと浸かってみて下さい。