わくわく

ツェトルの作品を「その他図譜類」に入れてみて、あらためて「自然誌/博物図譜」のところ、もっと充実させねば、ということに気づきました。
オリジナルを入れる、というのは遠い遠い憧れではありますが、今はひたすら複製(reproduction)で質の良いもの、お客様の手元にあって日々、ページをめくっていただけるもの、それから台湾の学生さんたちのためには、比較的手に入りやすい価格で、しかも彼らの標本画作成のお手伝いができそうなもの、をめざしています。


美しい印刷が自慢だった「愛し子」マリア・シビラ・メーリアンのペテルスブルク手稿 (Maria Sibylla Merian: St. Petersburg Watercolours)は良縁にめぐまれ、きっと愛して下さるところに旅だって行きましたし、ここでもう少し品揃えに厚みをもたせなければ寂しいですね。(なお、St.Petersburg Watercolours、良い状態のものが見つかりましたので、近日中に再入荷、再びご案内できる予定です。お楽しみに!2009年2月27日追記)


オランダやドイツの古書店に昆虫学や植物学関連の目録を送ってもらうと、高額な図譜がこれでもかこれでもかと目に飛び込んで来てくらくらした挙げ句、一体、この古書店の総在庫金額はいくらぐらいなのだろう、と想像するだけで溜息が出てしまうのですが、時々、戦前に発行されたフィールドガイドなどに、「ああ、きっと少年時代のヘルマン・ヘッセをわくわくさせたのは、こういうたぐいの図鑑なのだろうなあ」と思われ、それでも何とか手に入れられそうな価格のものが、ページのすみに図版を掲載されることなく、ひっそりと潜り込んでいることもあるのです。こういう目録ではむしろ簡単な文章のみの説明が想像力を刺激して、そこにリトグラフの枚数なんぞが書いてあると、思い切って頼んでみようかな、と。


そうそう、わくわく、と言えば、最近、親しい人、そしてこれから親しくなりたい人にいやがらせのようにパリのデロールのことを書き送っていました。
今森光彦氏の著書「好奇心の部屋 デロール」(福音館書店)の存在を知ったのは、京都の恵文社一乗寺店のサイトから。
この本に書かれているパリのデロールという店に一度足を運んでみたくて、何人かの人に「いいでしょ?いいでしょ?」と押し付けがましく、このデロールのホームページ( www.deyrolle.com/magazine )を知らせていたのでした。
昨年2月に火災に遭い、多くの貴重な昆虫標本などが灰になったはずなのですが、いつのまにか復活していたのですね。


こういうわくわくを届ける本屋になりたいなあ、というお話し。あっ、でも剥製は苦手です。