部屋に小さな蛾が入り込んで来た。
階段の踊り場が壁ではなく、低いフェンスで囲われているだけなので、灯火を慕って蛾がやって来ることがある。
何かの拍子でそんなのが入ってしまったのだろう。
昆虫採集への情熱は今は無くなってしまったが、こういう蛾を見るとにんまりしてしまう。
複雑な翅の模様は蝶より遥かに神秘的だ。だからといって「ガ書坊」にする訳にはいかないけど.....


今でも山登りなどに出かけ、草の葉に触れたり、虫を捕まえてみたりすると「毒があるかも知れないから、やたらと触ってはダメだよ。」と子供のように注意をされてしまうことがある。思えば、両親はそういう注意の仕方をしなかった。「これはウルシ。かぶれるから触ってはダメだよ。」何に触れてよくて、何に触れるべきではないかを示してくれていたから、生き物の世界に入り込むことができたのだなあ、と今、あらためて思う。


台湾には和名をヨナクニサンという世界で一番でかい蛾がいる。「サン」は「蚕」だ。
子供の頃、「シンジュサン」というのを捕まえたことがあるが、「サン」は人を呼ぶときの「さん」、いや、より近い感覚では「おいなりさん」や「かみなりさん」や「弁天さん」の「さん」だと思い込んでいたから、今でも心の中では「サン」は「蚕」ではなく「さん」だ。
台湾の友人たちに聞くと、台北でも郊外ならば「皇蛾」(ヨナクニサンのこと)を見る機会があるよ、という。
一度見てみたいなあ。


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