近日入荷予定の古書から

台北のとあるカフェで非常にお洒落な50代の男性を見かけて、おおっ!すばらしいセンス!と思うも、一瞬の後には彼がそのすきのない全身の装いのためにつむじからつま先までとがらせているあろう神経と鏡を前にするであろう時間を思いやると、なんだか、ぐったりとしてしまった秋の午後。

みなさま、いかがお過ごしでしょうか?お洒落というのはもっと人の心をなごませるものであるほうがいいなあ、と思ったのは、少し疲れていたせいかもしれません。こういう時には甘いもの。京都に遊びにいった台北の友人が買って来てくれた阿闍梨餅を楽しみにすることにします。

さて、えいやっ!と思い切って発注した本の中身を仕入先より入手した写真によりご紹介します。シャルル・オーベルテュール (1845-1925)の「比較鱗翅類学研究」(原書名より拙訳)Vol.11(1916年)から美しい手彩色リトグラフ図版。

図鑑の図版のカラー印刷はすでにクロモリトグラフ(多色刷り石版画、となりましょうか?)が主流であった時代。その時代にあえて手彩色という手間のかかる方法が採用されたのは、おそらく印刷工房の息子であったオーベルテュールの美学的な選択ではなかったか、と思います。それだけに発行部数は限られていた様子。全23巻の「比較鱗翅類学研究」(1904-1925)の中でも、このVol.11(1916)はエキゾチックな中南米のウラモジタテハなど秀逸な図版を数多く含んだもの。10月半ば入荷の予定です。

Beautiful hand-coloured lithographed plates from Vol. 11 of "Études de lépidoptérologie comparée" by Charles Oberthür (1845-1925), published in 1916.