明けましておめでとうございます。

元旦は多分仕事はひま(本当にそうだった・・・涙)と見込んで午後より相棒とその友人ふたりの合計四人で宜蘭(イーラン)までドライブ。特に細かく予定を立てずに、気ままに「観光地」を訪れ、「名物」をわざわざ並んで食べ、それが楽しかった。

 「名物」に旨いものなし。うむ、確かに。かつての僕なら、いわゆる「観光地」にも「名物」にも、そっぽを向き、へそまがりなコメントをして座を白けさせてしまっていたのだろうが、今は、友達といる時間そのものが楽しく、決して旨くはなかった「名物」も、僕には面白いネタであった。夕闇の中、帰りの高速道路を走る頃には、なんだか、このままずっと車に乗っていたい気分であった。


 帰りしなは年末に事故を起こして入院している彼らの友人の一人の見舞いに台湾大学の附属病院の病室に顔を出す。見知らぬ人の見舞いにつきあうのも、初めてのことだ。バイクを走らせていて、車にぶつけられ、転倒し、鎖骨を骨折、その車は逃げて行ったそうだ。「保険金はたっぷり出るだろうから、多分、儲かるよ。」などと冗談まじりで僕らの前で話すその人。でも、きっと事故に遭ったその時には、一人で痛くて、不安で、くやしくて、どうしていいかわからなくて、心細くて、大変だったにちがいない。すぐに友人に泣きつかずに、入院手配も自分でやって、そして高雄のお母さんに連絡をしたのだそうだ。高雄からかけつけた小さなお母さんは僕らが病室に入るとすぐに僕らのためにジュースを買いに出て台湾語で何かを言いながら、渡してくれた。「昨日呼んでくれたら、いっしょに病院で年越せたのに、なんで電話かけてけえへんかってん。」と(もちろん中国語なのだけど、本当に関西弁で言ったようにきこえた。)言う彼らの誠のある言葉をそばでじっと聞いていた。


 家に帰って横になると、まだしばらく車に乗っているようなうっすらとした感覚が残っていて、友人たちがくれた数時間の楽しみの名残に纏われたまま、眠りについた。