フウの木の紅葉

がいつのまにか始まっていました。温帯の国々の紅葉ほど鮮やかではありませんが、真っ青な空に映える色づいた葉はなにやら懐かしい。なんだか日本にいるようなそんな暗示を自分にかけて歩いていると、やはり台北は京都に似ています。この角を曲がると、ほら、千本今出川から千本丸太町あたりのあの雰囲気・・・ここいらは武者小路新町(そのあたりに住んでいた)から上京区役所周辺の感じ・・・でも京都御苑のつもりで國父紀念館のある中山公園の回りの歩道を歩いていると強烈な犬の小便の匂いが突如鼻を突き、一気に「一人京都ごっこ」は冷めるのであった。

 フウは漢字で書くと「楓」ですが、これは「かえで」とは異なる木。このあたりの事情は牧野富太郎博士の「植物一日一題」の「楓とモミジ」に詳しいのでご興味をお持ちの方はそちらをご覧下さい。漢籍に登場する植物や動物について、上代の日本人は文字のみの情報からその姿・形、あるいは習性をとらえ、日本に存在する「多分、これだろう」と思われる動植物にその漢字を当てはめていったのでしょうね。なので日本に存在しない動植物については、とんちんかんなことになってしまうのでしょう。たとえば漢字で「鶯」で表される鳥についても同様のことが言えるようです。(こういう時、ラテン語の学名というもののすばらしさを実感します。リンネ先生、やはり偉いっっ!!)


 さて、漢聲雑誌の「大過虎年」2010年版、胡蝶書坊での販売を開始しました。ぜひぜひご利用下さい。また、ロバート・フランク(Robert Frank, 1924- )のSeven Storiesも来週前半にはアップできると思います。件のKäferbuchも無事、ミュンヘンから届きました。入れて良かった・・・ヨーロッパの甲虫のみならず、外国産のカブトムシなども収録されていて、そのやや素朴な図版に150年前のドイツの昆虫少年の思いはいかなるものであったかと「一人ドイツの昆虫少年ごっこ」をしながら見入っています。こちらも出来る限り早くアップの予定です。うむ、それにしても品揃えにまとまりがない胡蝶書坊であることよ。