風邪気味の夜・・・

枕元で先日デンマークから入った小さな図鑑を開いて過ごす。文字を追うには少ししんどい夜。きのこの図鑑を開くと、きのこの生えている地面の様子がこまごまと描かれていてそれが楽しい。苔の上にオークの落葉が落ちている、カタツムリの殻がころがっている、赤い小さな実を付けるヤブコウジのような灌木、ドングリの「帽子」(実、そのものは描かれていない)、シラカバの実、針葉樹の落葉がきのこのかさに落ちている絵もある。この絵を描いた人はきっと何度も森の中を歩いたに違いない。あの、秋の森のあまいにおいがしてきそうだ。久しぶりに山道を歩いてみたくなる。風邪が良くなったら・・・今日は遠い北の国の森を歩く夢が見られると良い。

 去年、北海道の林で拾ったエゾマツの実を入れた瓶のふたを開けて、においをかぐともうすっかり茶色に変色してしまっているのに、強烈な針葉樹の香りがした。この香りは若い頃、よろよろ荷物を背負った山スキーのくだり(皮の登山靴にスキー!!!)、ついにバランスがとれずに林に突っ込んだ時、それまで何の臭いもなかった雪の世界にスキーのエッジが木の皮をザッと切り込んだ瞬間ににおいたつあの香りだ。