百香果

秋の果物屋さん。
夏の間、ずんずんと置かれていたパイナップルはいつの間にか無くなり、文旦や梨が並び始めました。
そういえば、この夏、水蜜桃は二回しか食わなかったなあ・・・とちょっと後悔。
ふとその香りの誘惑に勝てず、今日はパッション・フルーツを五つ買う。
おじいちゃんちの庭の李(すもも)も懐かしくて、アメリカからの輸入品ながら、李も六つ買う。


パッション・フルーツはこちらでは、百香果(バイシャングオ)と呼びます。
Passionの音を「百香」(バイシャン)という漢字で表現するそのセンスはなかなか・・・
それほど香りの良い果物で、夏の間、氷屋さんで氷を頼む時、僕は、かならずパッション・フルーツのソースをかけてもらう。


パッション・フルーツのpassionが「情熱」のpassionではなく、キリスト受難のPassionであることを知ったのは、たしか、澁澤龍彦の「フローラ逍遥」だった。
ついでに、「時計草」の果実であることを知ったのも。


月曜日、人を食事に招くので、その時に、バニラのアイスクリームといっしょに出し、ソースのようにして食べてもらおう。この食べ方、旨いです。


果物屋から帰宅すると、本が到着していました。
J.J.ルソーの「植物学に関する書簡」(Lettres sur la Botanique)にかのルドゥーテ(Pierre-Joseph Redouté)の植物画をあしらったものです。
僕はルドゥーテを全く誤解していた。
彼はバラだのユリだのばかりをセンチメンタルに描いた人かと思っていた。
野の花を静かに見つめるまなざしをも持ち合わせた人だった。
エレガントな一冊、できるかぎり早くご紹介します。


ふと気がつくと、今年はルドゥーテ生誕250周年。