蘭嶼島

15日の午後から休みをとり、台湾本島の東に浮かぶ島、蘭嶼(Lan Yu)に行って来ました。
台東から船にゆられて四時間、バイクがなければ回れない不便な島ですが、その不便さが極端な商業化を防いでいるようにも思えます。
久しぶりに大資本によるチェーンストアが一切無い場所にたどりつきました。
本島からのケンタッキー・フライドチキンととりたての伊勢エビとの物々交換が成り立つ、ということはやはり地元の人々にとってはテレビに映るファスト・フードは一度食べてみたいものなのかも知れません。
隣の緑島にはすでにセブン・イレブンが進出していると聞きました。


初日、バイクで海岸沿いの道を走っていると、大きなアゲハチョウの仲間、コウトウキシタアゲハ(Troides magellanus)を三頭目撃しました。
民宿のおねえさんにそのことを話すと「わぁ、運がよかったわねえ。昔はどこでもみかけたものだけど・・・」
コウトウというのは蘭嶼の古称。「紅頭」と書きます。
この蝶、中国語では珠光鳳蝶(チュウクワンフォンティエ)というのですが、その名のごとく、後翅が光の角度のよって真珠のように、いや、光の感じはオパールでしょうか、そう、オパールのように輝き、生きて飛ぶ姿は本当に美しい。
ちなみにネットでコウトウキシタアゲハと検索すると採集記録や取引情報であふれていますが、この蝶は「保育類」、つまりは保護蝶で採集は固く禁止されています。
台湾では蘭嶼の他、本島でもごくごく局地的な限られた場所にしか分布していないとのこと。


少しですが、台東、蘭嶼でのスナップを。残念ながらコウトウキシタアゲハの撮影には成功しませんでした。そうそう、夜はクイナの一種の声を聞き、日中にその姿を見ることができましたが、時代劇なんかで夏の夜の場面にバックで流れる、所謂「水鶏(クイナ)のたたき」よりは少し高い声であったように思います。



現地の小学校の先生がガイド役を買って出てくれたので、地元の子供たちと海で遊びほうけたり、潮溜まりで小さな魚を覗いたり、夜は台北からやって来て蘭嶼出身のガールフレンドと二人で露天のカフェをきりもりしている若いマスターとじっくり話をしたり、と台北での日々よりもたくさんの人々に触れて帰って来ました。